私が病院で看護助手として働いていた頃(20代前半)
病棟の師長さんの教えに
「長いものに撒かれろ。自分達は兵隊だ!」
という言葉があった。
師長さんはいつも総師長さんと話した後、不満を言っては、私たちにそのセリフを使っていた。
兵隊の例えは、雇われである以上、従ってれば良いというイメージを持てたけれど
[長いものに巻かれる]
という言葉が、どんな状態でいることなのか?
私には少し分かりにくかった。
そんな時、「長いものに巻かれてるよね~」と色々な人から、声をかけられ、誉められ、上司の評価も高い男性看護師が私の病棟に配属されてきた。
当時は男性の看護職員は少なかったのもあり、彼はいわゆるイケメンだったので、よくモテて女性職員からは可愛いがられていた。
[長いものに巻かれる]
この職員を参考にしたら、
私はここでやっていけるんだ。
住む場所を失うこともなく働き続けられる。世の中を上手く渡れるんだ、と考えていた。
でも……
彼は嘘つきだった。
自分の失敗は上手く隠して
助手さんに罪をなすりつけていた。
必要とされている人が資格も経験もない立場の弱い助手さんのせいにしてうまく立ち振舞う。
その行為は、失敗の度合いにもよるけど、私は、納得のいくものではなかった。
だけど失敗をかぶったから優しくされた。役にたてた。そんな風に感じ、さほど苦に感じない助手さんもいた。
でもある日
病室へ食事介助に入ったその男性は、患者さんの食事を
ムシャムシャ勢いよく食べていた。患者さんはベッドで寝ていた。
「何してるんですか?○○さんのご飯だよ!」
見られた私に、罰が悪そうに言葉を返してきた。
「食べて良いと言われた。」
私には、ありえない場面だった。
この人は(患者さん)、何を食べるの?
看護師さんが、患者さんのご飯を食べるなんて私には考えられないことだった。介助を必要としている人の目の前で自分のお腹を満たしている。
許せなかった。
上司へのおだても気遣いも
長いものに巻かれる生き方を参考にしたいと思えた人は、裏ではこんなことしてたんだ。
こんな人になりたくないと思った。
長いものに巻かれる見本とした人は、私にとって模範にもならなくて、あの時は[長いものに巻かれる]という言葉そのものが嫌になった。
自分が幸せを感じる為には本音で生きたいと思うからどのみち私には、難しいだろうなって感じている。
私は漫画を読むのが大好きで一時期ハマった韓国の漫画がある。
過去の記憶を持ったまま、また自分に転生するといったお話しだ。
同じ失敗をしないように、
起こるであろうリスクに備える為の知識や技術を習得し、生きる道を変えるのではなく
同じ道を賢く善く生きてく。そんな話だった。
単に生きるのではない。
私が、もし、生まれ変わったらまた私になりたいと思う。
出来ればまた児童養護施設で育つ人生を選びたい。
沢山勉強して知恵をつけて困らない生き方を習得したい。
そしてまた福祉の仕事に携わりたい。と考えています。
私は生き方が下手だと実感している。
嫌な態度や場面に遭遇したときに、人の弱さというか、汚い部分がみえて…その心は、愚かさが見えて
私を傷つける。
だから、私は知恵をつけたいと思えた。
虐めに対しても見てみぬ振りは同罪だと思います‥
長いものに巻かれる生き方が上手く世の中を渡れるコツであっても、私は、私の本音を貫いて世の中を生きれるようになりたい。