あおのソラ

あおの気持ちをつづります

俺はまだ若いよ!

「おいくつですか?」
顔見知りになると、そんな質問をすることがある。
100歳を超えている方は、年齢を聞くと、どこか誇らしげに教えてくれる。
一方で、90歳から92歳くらいの方は、
「まだ若いよ」と答えることがある。

どうしてだろう…


先日、92歳のおじいさんが言っていた。
「俺は若いよ。免許更新もするよ」と。
その言葉が、なんだか心に残った。


92歳という年齢だけを聞けば、できなくなったことや、難しくなったことを考えてしまうかもしれない。
でも、本人のなかには、まだやりたいことがある。これからも続けたいことがある。

年齢を重ねても、気持ちまで年を取るとは限らない。
「俺はまだ若いよ」
その言葉のなかには、これからも自分の人生を楽しもうとする気持ちがあるのかな。
年齢という数字だけで、その人のこれからを決めつけてはいけないのだと思った。

 

自分で自分を立て直す

本当はずっと、心がすり減っていくような感覚があった。
残って仕事をしていると、 「私、何をしてるんだろう」と 虚しくなることもあった。
弱音を吐きたいというより、 投げ出したくなる気持ちを追い払おうとして、 涙が出る日もあった。


でも、毎日の中には、 ちゃんと嬉しい気持ちになれる 利用者さんとの関わりがあった。
目の前の利用者さんの言葉や行動を、 受け流すのではなく、 「どうしてこの言葉が出てくるんだろう」 「この行動には何があるんだろう」 と考えてみてほしい。
本人がよく話す誰かのこと。 何度も出てくる口癖。 何気ない行動。
そこには、その人の世界を知るための たくさんのヒントがある。
その人の世界に触れていくと、 今まで見えなかったものが見えてくる。
その言葉をもとに声をかけてみると、 ちゃんと伝わることもある。
そうやって関わっていくと、 人と人はちゃんと繋がっていく。
昨日、みんなと話をしていて、 やっぱり私は、 こういうことを大切にしてきたんだと思った。
そして昨日、職員さんたちと、 「目の前の利用者さんたちを、必ず元気にしようね」 と約束をした。
元気になる可能性を見つけること。 その可能性を引き出すこと。
そこには、私たちの力量があると思う。

失敗から学ぶことがあるのも、 大きな一歩だと思う。誠意を持って関われば、 ちゃんと伝わることがある。
仕事を頑張る意味は、 ここにあったんだと思う。 


自分が大切にしてきたものを、 もう一度、自分で確かめた。誰かに立て直してもらったわけじゃない。
自分が大切にしてきたものを思い出して、 自分で自分を立て直せた。

繰り返しになるけれど、
目の前の人とちゃんと向き合っていれば、 思いがけないところで、 自分の心まで救われることがある。

頑張ってきたことが、 今度は自分を支えてくれる。
昨日は、そんなことを 少しだけ実感できた一日だった。

 

それでも

「その人らしさ」って、
職員にも、もちろんある。
気をつけている振る舞いだったり、
人との関わり方だったり、
「社交性を守りたい」という思いだったり。
ルールを重んじる人もいれば、
明るくいることを意識している人もいる。
綺麗好きで、環境を整えることを大切にしている人もいる。
本人が大事にしている部分を、
できるだけ守っていくことは、
管理者の努めなんだろうな、と私は思う。

私自身は、
手柄を立てたいとか、
褒められたいとか、
そういうことよりも、
「自分が大事にしている思いを、
ちゃんと聞いてもらいたい」
たぶん、それが一番なんだと思う。


だから、それが満たされないときは、
外に飲みに出て、
美味しいものを食べて、
お酒を飲んで、
いろんなものを飲み込んでいる。


疲れないかと言われたら、
そりゃ疲れる。
こんな人生でいいのかな、
と思うこともある。
それでも、
ふとした瞬間に幸せだなと思えることがある。
たぶん、
そういう幸せな瞬間があるから、
またやれているんだと思う。
そして朝がくれば、
ちゃんと仕事に行く。
また今日も、
日々を繰り返していく。


あともう少し頑張ったら、焼肉へ行く。
そんな小さな楽しみでも、
私にとっては大切なもの。
私は私を、
ちゃんと幸せにしてあげようと思う。

ふと途切れたあとにのこるもの

5つ葉だよ。


利用者さんが見つけてくれた5つ葉のクローバー。4つ葉よりずっとレアなんだって。
願いなんて特に持たないと思っていた私が、今はただただ、切に願うことがある。
願いごとというのは叶うものなのか分からない。叶えたい気持ちが届くように、可能性を信じてきただけだった。

 

少しだけ、誰とも関わらずに過ごしたい日がある。元気?と聞かれたら「元気ですよ」ってちゃんと答えるけど、元気なんていらないから、1人になりたい、遮断したい。とやさぐれる日もある。とは言え‥‥そういうわけにもいかない。

やるべきことは日々ある。

 

任されることは学ぶことだった。挑戦の中で人は覚えていくし、未熟さは経験で変わっていく。賢さは最初からあるものじゃなく、育つものだと自分に言い聞かせて、とりあえず今日を過ごしてみるしかない。


朝ごはんは、タコさんウィンナーのはずが足の数を間違えた。
卵焼きと、差し入れのイチゴ、野菜を一品添えたら、あとは、味噌汁とご飯で完成。
タコの足の本数は間違えたけれど、小さな笑いや何気ない優しさは、ちゃんと大事にしていたいと思うのは変わらない。

 

寄り添う10分

夕食後、寝間着に着替えるはずのお爺さんが、なぜか上着を羽織った。

「え、これから外に出るの?」と思わず声をかける。

まだ食事が終わっていない方もいて、介助が必要だったため、付き添えないこと、そしてその場を離れられないことを伝えると、お爺さんは穏やかに言った。

「俺にそんなに頑張って仕事しなくていいよ。そちらの方にご飯食べさせていて。」

そう言うと、そのままホームの外へと歩いていってしまった。目的はわかっている。

四つ葉のクローバーを探しに行くのが、その方の日課だった。以前には、六つ葉を見つけたこともあるという。

夕食の片付けや介助の段取りが頭をよぎる一方で、「今、外に出たい」という気持ちはすでに動き出していた。お爺さんの「四つ葉を探したい」という気持ちを止めるのは、このときは無理だと思った。それでも私は、1人で外に出ていかれることへの心配が勝ち、残ってくれていた他のスタッフに介助を託し、一緒に四つ葉を探すことにした。

たくさんのクローバーの葉を、慣れた手つきでかき分けていく。

「難しいからこそ探したいんだ。自分の仕事だと思っている。」           

そう語る姿には、ただの遊びや散歩というよりも、どこか自分の役割を果たしているような強さがあった。「四葉のクローバーを見つけたら何か叶えたい願いがあるのですか?」と尋ねると、「何もない」と静かに返ってきた。

「ほら、あった」そう言って、お爺さんが小さな葉を私に渡してくれた。

葉が4枚ある!ほんとに見つけてくれた。

そして満足したように、そそくさとホームへ戻っていった。私も、後ろを追いかけるようにホームに戻り、待機していた職員を含め、利用者さんたちに見つけてくれた四つ葉を見せて回った。「押し花にして栞にしよう。〇〇さんが見つけて私にくれたんだ」と、自慢するように話していたら、お爺さんの表情が、さっきまでの穏やかな落ち着きとは違い、とびきりの笑顔と誇らしさに満ちていた。

その後、お爺さんは寝間着に着替え、その夜はぐっすりと眠った。

四つ葉のクローバーを見つけたのは、時間にすると10分ほどのことだった。けれど、そのわずかな時間ですら、介助があるからと、今は付き添えない。と思ってしまった自分に、あとから反省した。陽気のいい時間は、夕食時のほんの短いひとときだったかもしれない…。その時間に一緒にクローバーを探したことは、不思議とこちらの心も軽くしてくれた。

自宅での自由な暮らしではないからこそ、こんな一日があってもいいのかもしれない。そういう時間があるからこそ、満足を感じられるのかもしれない。

 

夢なのにやけに現実みたいだった

最近、変な夢ばかり見る。

この前はクマに遭遇する夢だった。
どこかわからない場所で、ギコギコと音を立てる扉と壁の間に体を挟めるようにして、息を潜めて隠れていた。ここで一生を終えるのかもしれない、と覚悟していた。

でも、以前クマの出没ニュースが話題になったときに、「葵ちゃんの人生を考えると、クマに襲われて終わるなんてことはないよ」と言われた言葉を思い出した。夢の中で、必死に踏ん張っていた。

やがて気配がなくなり、飛び出して車に乗り込んだ。そして「クマがいるよ!」と叫びながら周りに知らせ、近くの小学校に駆け込んで、みんなに「鍵をかけて!」と伝えていた。

あの緊張感は、目が覚めてからもしばらく残っていた。
夢なのに、やけに現実みたいだった。

もう少し、穏やかな夢が見たい

触れるということをもう一度考えた一冊

 

[介護技術の基本ぜんぶ]を読みました。
とても読みやすくて、導入部分から『山崎さんらしいな…』と思いながら読み始めました。

みなさん、小口に描かれたイラストには気づきましたか?
思わずほっこりしてしまいました。

介護が必要になった要因のひとつに「社会からの孤立」が挙げられていたことも印象的でした。

そして、
私たちは仕事柄、人の身体に「触れること」が当たり前になっているけれど、
そもそも他人に触れること、触れられることは普通ではないことを忘れてはいけません。p43
その一文に、はっとさせられました。

車椅子を押すときの意識。
短距離でも「歩くこと」を大切にすること。
入浴前の水分補給(1回の入浴で失われる水分量について)。

どれも「分かっているつもり」で見落としがちなことばかりで、何度も立ち止まって考えさせられました。

耳・鼻・爪のケア、靴の大切さまで丁寧に触れられていて、
この一冊を手にして「読んで良かった」と思う介護職の方はきっと多いだろうなと感じます。

 

番外編も、個人的にお気に入りです。

そして何より、
目の前の利用者さんを元気にするからね。
そんな気持ちになれる一冊でした。

みんなと共有するために職場に持っていったところ、夜勤明けの職員さんはその場で読み終えてから帰宅していたよ。準備の大切さに意識が向いたと話してくれてました。

個人的に購入したいと、本をスマホでパシャリと撮って帰ったスタッフもいました。

 

他のみんなからの感想も楽しみです。